空気の標本

諸芸術の空気感を標本として抽出し、アーカイブするプロジェクト

1㌶で藁に沈む (映画『私の叔父さん(2019)』レビュー)

[デンマークで暮らす酪農一家] 酪農家の暮らしとはどのようなものだろう。ある時は汗だくで干し草を運び、額に張り付いた草を取ろうとして顔に泥を塗ってしまう。またある時は牛の糞をさらいながら、ツナギに着いた茶色い染みが泥なのか糞なのかわからなく…

私たちは銀幕の向こうで、ジャック・ドゥミとすれ違う

”以下の文章はミニシネマのジャック・ドゥミ監督特集上映に際して執筆された文章である” ジャック・ドゥミはヌーヴェルヴァーグ左岸派を代表する映画監督の一人であり、錚々たる監督たちが顔を連ねるフランス映画史の中でも、最も独創的な監督の一人として名…

体現帝国第九回公演『Gulliver-不安の島-』レビュー

作品名:体現帝国第九回公演『Gulliver-不安の島-』2021/5/28-29 愛知県芸術劇場 小ホール Criticism by Kaito Tokumaru 蜂起せよ人類、時刻は変革を指している 本公演は愛知県芸術文化劇場・小ホールで上演された作品で、昨年の12月に某公園で行なわれた…

朽ちた蔓延るレビュー

作品名:朽ちた蔓延る 愛知県芸術劇場 小ホール Criticism by Kaito Tokumaru 朽ちた蔓延る 開演前、配布された『朽ちた蔓延る』の戯曲を開くと「架空の遺跡を、声と身体によって建築したいと考えた」と記述があった。この戯曲は遺跡を軸として、そこにゆか…

DANCE SELECTION 2020レビュー『絶対的な自己と関係性における自己』

作品名:DANCE SELECTION 2020(柿崎麻莉子『The stillness of the wind』|倉田 翠/akakilike『家族写真』)2020/10/2- 2020/10-3愛知県芸術劇場 小ホール Criticism by Kaito Tokumaru 絶対的な自己と関係性における自己 柿崎麻莉子『The stillness of the wi…